保育機関ではまた、児童の「多国籍化」だけでは計りきれない「多文化化」が進行している。従来日本では、父親が日本人である場合にかぎり、日本国籍が認められていた。しかし、国籍法の改正により、1985年以降は子どもの出生の際、父と母の一方が日本国籍を有していれば、日本国籍を取得することが可能となっている。また「国籍の取得の特例」によって、20歳以下の「外国人」で出生時に母が日本国籍を有していた場今には、施行日から3年以内の法務大臣への届出によって、日本国籍の収得が認められた。先にみたように、近年の国際結婚の増加によって、日本人の父と外国人の母の子ども、また日本人の母と外国人の父の子どもの出生が増えている。子どもの国籍は日本であっても、家庭の言語や文化的背景が多様な場合も多くみられる。こうした「多文化化」の状況は、全国的な省庁レベルの調査ではいまだ十分に捉えられていない。また保育の現場、また各地方自治体においても、子どもの国緋、家庭内言語、文化的背景の把握がなされていない場合もみられる。しかしながら現実には、日本国内で成長する外国籍の子どもたち、また国籍は日本であっても文化的配慮が必要な子どもたちの数は明らかに増加している。保育機関における子どもたちおよび子どもの育児に深く関わる親の言語や文化的背景の多様化は、今後ますます進んでいくと思われる。このように子育ての場における「多国籍化」「多文化化」が進行するなかで、子どもたち同士、また親、幼稚園教諭や保育士など子どもの養育・保育に関わる人々のあいだで、異文化間の交流・接触は日常的なものとなっていくだろう。これからの時代を生きる子どもたちは、多様な言語や文化背景をもつ人々とともに、多文化的環境のなかで育っていく。また親や保育士も、多文化のなかで生き、多文化のなかで子どもに関わっていくことになる。多文化的環境における人間相互の関わり、成長や学びは、まさに乳幼児期からはじまっているのである。
>> 保育士の専門学校聖徳大学幼児教育専門学校ホームページこちら