たとえば東京都中央区京橋にわずか10坪の土地があって、そのうえに木造三階建てが建っている物件があります。容積率が六〇〇ですから六階建てまで建てられる場所です。この土地にはじめM銀行が五〇億円の極度額を付けました。その次にF銀行が三〇億円の極度額を付けました。その後で所有者と交渉したH銀行がM銀、F銀の債権を抹消して一〇〇億円の極度額を付けました。これは当時の銀行間のすさまじい貸付競争を物語るものです。
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その物件はいま塩漬けになっています。その後H銀行自体が倒産してしまったので「競売」にもならず、所有者が負債に追われて南米で事件をおこし刑務所に入っているため「任意売却」の交渉もできないのです。ちなみにいま競売に出ればこの物件は、一億円もいかないでしょう。このような銀行の激しい貸出競争の結果、債務の膨らんだ物件が「不良債権」化したのが実状なので、「任意売却」される物件は、いずれも損切り物件です。しかも市場価格より安く出てきます。競売物件よりは上値になりますが、転売して十分に利益の出る価格で市場に出てきます。その時に投資家が投資をして「任意売却」物件をいったん買受ければ、転売時にかなりの利益を得ることができます。