免許を取ったその年、日本観光通訳協会が主宰する関西方面の新人ガイド研修会に、がんばった自分への御褒美のようなつもりで、半ば物見遊山の気分で参加しました。ベテランガイドの講師は開口一番、「通訳ガイドの仕事は、その業務が発生するところでしか成り立ちません」。わかっていたつもりでしたが、まず最初の一撃でした。さらに会場の参加者から質問が出ます。「通訳ガイドの資格を取ってから、仕事をどうやってさがそうかと、まずは県の観光課に行ってみたのです。担当の人と一通り話をしたあと、『いやあ、あなたのような方が増えてくださると助かりますねえ』と係の人がいそいそともってきたのは何だと思いますか?『ボランティア通訳申込書』です。私は仕事として通訳をやりたいのに、無償のボランティアでは困るんです。地方でどういうふうに仕事をさがしていったらいいのか、アドバイスがほしいです」その人は滋賀県に住み、英会話スクールの講師をしながら、そこで稼いだお金のほとんどを費やして京都の通訳学校の会議通訳コースに通っているとのことでした。そのような実力留を蓄えた人でさえ、無償のボランティアの対象者と思われてしまう、地方での通訳の仕事Jに対する認知度の低さがよくわかりました。地方での仕事獲得をどうやったらいいか、その質問に対する答えは、はかばかしいものではありませんでした。経験豊富な通訳ガイドである講師の方々も、この問題については苦慮していらっしゃるようでした。
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