重要な政策課題は、教育費の公的支出のあり方の見直しである。現在の高等教育に対する公的支出は様々な形でなされている。今後の日本全体の学生支援のあり方を考えていくためには、教育に対する機関補助と個人補助の再検討が重要な課題となる。現在では、機関補助と個人補助はまったく別の形で、異なる機関あるいは文部科学省の別々の課によってなされている。二〇〇七年の事業規模からみても、支援機構の無利子奨学金は、一六〇〇億円で、さらに有利子奨学金が四三〇〇億円などとなっており、総額で約五九〇〇億円である。また、国立大学運営費交付金は、一兆二〇〇〇億円、私立大学国庫助成は三五〇〇億円となっている(いずれも数字は概数)。これとは別に、日本政策金融公庫教育ローンは二〇〇〇億円の規模がある。さらに、科学技術振興費の総額は、一兆三〇〇〇億円に達する。これらを単純に合計すれば、高等教育の公的支出は財政規模で四兆円に近い。これらを高等教育に対する公財政負担として包括的に議論することの必要性は唱えられたことがあっても、高等教育政策の中では、まったく別々のものとされてきており、具体的に包括的に検討したことは戦後かつてみられないと言っていい。これらは教育だけでなく、研究や社会サービス活動への支出であることも留意しなければならない。しかし、大学の活動は先にも述べたように、これらを別々に行うのではなく、結合生産する点にある。したがって、これらを別々のものとせず、どのように配分するのが最も効果的か、包括的に検討する必要がある。つまり、国の公財政による高等教育関連予算を包括するファンディングーシステム(財政支出の仕組み)を構想する必要がある。もとより機関補助と個人補助では目的、効果が異なり、すべてを一元化したり統合することが必ずしもいい結果を生むということではない。包括的にこれらの公財政支出の費用と効果を分析し、最も望ましい資源配分のあり方を検討することが必要であろう。
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